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スズキ 新型アルトワークスに試乗してきた【レビュー】

アルトワークス

昨年アルト ターボRSが出た時から、スズキファンが期待していたワークスモデルが先日遂に発売されました。MT設定も追加され、本格的な軽スポーツを待っていた層からの熱い支持を獲得することに成功、現時点で納車3ヶ月待ちのオーダーを抱える状況だそうです。

ワークスに合わせ、エンジン等を再チューニング

アルトワークス

既にターボRSというスポーツグレードが存在していた現行アルトな訳ですが、今回ワークスモデルを追加するに当たり、エンジンレスポンスを更に鋭くする方向にチューニング、KYB製のサスペンションもセッティングを見直し、コーナーでのスタビリティを確保しつつ乗り心地も落とさないバランスを追求したとのこと。でも流石にターボRSに比べると多少固くなってます。

そして多くの方が待ちわびた5速MTはショートストロークで気持ち良くシフトチェンジできるワークス仕様。小振りのシフトノブも手の中の納まりが良く、常に使用する物として良く考えられた形状になっています。

これに加え、FFの5MT仕様で670kgと恐ろしく軽いボディに収まっているわけで、軽量なホットハッチを求める層にはピッタリなモデルに仕上がっています。現存するスポーツグレード車の中でも最軽量に位置する1台ですから、ライトウェイトスポーツ好きには最高におすすめです。

ターボRSより更に過激にセッティングされて面白過ぎる…

アルトワークス

実は現行のアルトが発売された時にAGS仕様のターボRSにも乗っているのですが、MT仕様のワークスはそれに比べるとダイレクト感という意味ではとても向上しました。クラッチ、アクセル、ブレーキの組み合わせで車の挙動をはっきりと感じ取れる様になり、この小さなボディを自在に操る感覚が強くなりました。MTを待っていた方には非常に朗報と言えそうです。シフト周りのデザインは取って付けた様な印象ですが、シフトの感触自体は、ショートストロークで「コンッ」と小気味良くギアをチェンジすることが出来ます。

エンジンのレスポンスはワークス追加に合わせ、ターボRSよりも更に過敏な方向に振られました。全体の加速としては64馬力エンジンのそれですが、コーナーからの立ち上がりでアクセルオンにした直後の蹴り出しがやたらと力強く、競合の軽スポーツと比較しても最も暴れん坊にチューンされています。下のトルクはターボで厚くなっている上、吹け上がりもやたら軽いので驚きます。レッドゾーンは7000回転からですが、こんな所はすぐ届いてしまいますね。街中をトコトコ走る様にミニサーキットみたいな所が主戦場ですね。

KYBのサスペンションはコーナーでの安定感は抜群に高く、ちょっとやそっとではへこたれない足をしています。タイヤもPOTENZA RE050Aを装着していますから、ドライグリップは相当高いです。乾いた路面の上なら、車重の軽さも相俟って非常に高いコーナーリングスピードを発揮してくれるでしょう。ただ経験上、このタイヤはウェットな路面では思った程食い付かないイメージですので、雨上がりでもご注意下さい。また、一般道でははっきり「固い!」という足に仕上がっていますので、スズキの本気さを伺うことが出来る反面、雰囲気で購入する方にはちょっと辛くなっています。明らかにファミリー層は度外視した本格的な足回りです。

シートは純正でレカロになっており、ホールド感はセミバケットシートとしては申し分ない物になっています。しかしこのアルトワークスの走行性能を全て使いきろうと思ったら、多分フルバケットシートに換装した方が良いですね。横Gに耐えるしっかりとしたシートに変えてあげると更に運転が楽しくなります。ステアリングは赤ステッチでレーシーな仕上がりですが、これももう少し小径のステアリングに変えてやるともっと良いです。

これだけの性能で価格も相当抑えられていることに感動

乗用車をベースに性能アップしているアルトワークスは、ホンダのS660やダイハツのコペン等の専用設計の車に比べ、コスト負担が分散される為、価格面ではかなり有利です。これだけ凝った作りにしても税込み170万円程度と低く抑えられています。この価格だと普通車も視野に入ってきますが、この内容でこの価格はかなり抑えてくれた方だと思います。速い軽スポーツならもうこいつを選べばまず間違い有りません。もう少しマイルドでも良いという方はターボRSをどうぞ。はっきり言って向こうはスポーツグレードでも10人中8人は問題無く乗ることが出来ます。これがワークスだと恐らく4人くらいに減るストイックさというとわかりやすいでしょうか。それぐらいしっかりスポーツ寄りのセッティングになっています。