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スズキとダイハツの二大巨頭
軽自動車規格のトラック、バンはトヨタ、日産を始め各社ラインナップを持っていますが、生産元を辿るとスズキかダイハツのOEMというケースがほとんどです。例えばトヨタのピクシスバンを購入するといつの間にかダイハツ製を購入しているという形になります。
スバルが撤退し、ホンダがアクティを自社生産していますが、OEMも含めるとスズキのエブリィ(トラックタイプはキャリィ)、ダイハツのハイゼットが販売台数でも何倍も差を付けています。
バン型のメリット
バンタイプの場合、トラックと比較して街乗り用途に使われるため、AT車が選びやすいこと、ターボエンジンが選べて軽規格のフルパワーに相当する64馬力仕様が選べることが特徴です。
トランスポーターとして見た時、後部座席以降が箱形になっているいわゆるバンタイプは、バイクを保管する簡易ガレージとしても機能するのも大きなメリットです。特に屋外保管せざるを得ない人にとって、大事なマシンが風雨に晒されずに済みますし、この辺りはトラックには無い特徴と言えます。施錠した車内の中に保管できるため、バイクに良く起こる盗難被害を防止する効果もあります。また軽バンの場合、バンタイプトランスポーターの代表格であるハイエースに比べると車両そのものが盗難のターゲットにされる可能性も相対的に低いです。ハイエースの場合、バイク以上に車そのものが盗難のリスクを背負うことになります。
デメリットとしては、軽バンは天井を高くするハイルーフタイプでも屋根が低く、バイクを載せるには窮屈になるという点です。特にCRF450Rの様なフルサイズのモトクロッサーなど背丈の有るバイクでは工夫が必要です。加えて使用後のバイクを積んだときにかなりのガソリン臭が車内に漂うこと。少なからず土や泥を車内に持ち込むので、汚れやすいという点も挙げられます。オフロードバイクなら特にそれが顕著でしょう。これは家族共用の車として使うなら気になる問題です。
トラック型のメリット
トラック型の場合、荷台に屋根が無く開放状態のため、作業性に非常に優れています。バイクを複数台無理矢理詰め込む様なケースでも、荷台の上で立ち上がって積み込めば負担が少ないです。
運転席と荷台は隔離されているのでガソリン臭も相対的に気になりません。
また汚れた荷台を清掃することが比較的容易なのもトラック型の特徴です。オフロード車が大量に土を載せても、構造上豪快に洗い上げることが出来ます。購入後のケアのしやすさではトラックタイプの方が数段優れていると言えるでしょう。
反面、エンジンはごく一部の例外を除き自然吸気のエンジンなので、軽自動車の中でも非力な部類です。数値としては45馬力前後なのでギアを自在に選べるMT車で無いと軽快さに欠けます。また後部座席の有るバンに比べて、こちらははっきりと2シーターになりますから家族を乗せるファミリーカーとしては割り切った使い方をしなければならないのも事実です。
バン型の代表車種
エブリィ
まずはスズキのエブリィから。スズキの商用車は安価に販売するという点で非常に上手く、エブリィも最廉価のグレードで92万3400円からと最も安い値段を実現しています。仕事の車だし、一番安いのでいいやという人にはエブリィは訴求力抜群です。また商用車として最重要ポイントである荷室が一番広いのがこれです。
装備の先進さにも長けていて、レーダーブレーキサポートなど事故防止機能もオプションで用意されています。
実際、街中で見かける確率の非常に高い車種です。
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ハイゼットカーゴ
ダイハツのハイゼットカーゴはエブリィに並ぶ人気車種で、価格面も93万6000円からスタートと横並びの状態です。
車体は最もロングホイールベース設計で直進安定性に優れ、3気筒ターボと合わせて高速道路での走行にも十分対応してくれます。
また他のバンが商用車のシンプルなカラーバリエーションを設定しているのに対し、ハイゼットカーゴ最大7色のカラーリングを用意して乗用車並に選ぶことが出来ます。最上位モデルは値段もそれなりですが、内外装の質感を高めて所有時の満足感を高めています。
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アクティバン
アクティの最大の特徴はFRが基本とされるこの類の商用車の中で、唯一MR(ミッドシップリアドライブ)方式を採用していることです。空荷の状態でもリアタイヤに荷重がかかり、走破性を高めている他、ドライバーからエンジンが離れることで静粛性に優れるメリットが有ります。
ただOEMも含め販売台数で圧倒する2社に比べるとどうしても価格面で高く、115万円からのスタートで差を付けられています。スズキやダイハツに比べると価格面の心理的ハードルが結構高いです。
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トラック型の代表車種
キャリィ
次はスズキの軽トラック、キャリィ。これも街中での遭遇率の高い車種です。軽トラックの荷台は競争の激しい部分で、各社少しでも大きくしようとしのぎを削っています。現状ライバルのダイハツと横並びの状態ですが、荷台面地上高は650mmで最も低いです。腰が弱く、重い物を持ち上げるのが辛い人にとっては少しでも低い方が体に優しいでしょう。バイクなどの重量物を積むときも低い方が負担が少ないです。
スズキはトランスミッションにも他に無い特徴が有り、2ペダルMTの5AGSが選べます。ATと同等に手間を減らしつつ、MT車の様にギアを任意で切り替えることが出来る仕様です。値段は張りますが、MTの燃費の良さを保ちつつ、AT並みの操作性が欲しい方にはおすすめです。
特装車の中にはバイク専用の荷台を装備したバイクキャリィカーも有り、バイク用トランポとして購入するならただのトラックではなく、特装車仕様という手も有ります。
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ハイゼットトラック
ダイハツのハイゼットトラックも荷台の広さはピカイチで2030mmというNo.1のフロア長を達成しています(正確にはこれはスズキと同率1位)。ただしガードフレーム込みの荷台長ではハイゼットが上回っています。他に明らかに優れている点としては25個のフックを車体の至る所に取り付けたことが大きいです。フックが付いただけ?と思われるでしょうが、軽トラのフックは荷物を荷台に固定する際に極めて重要です。これが多いと、あらゆる形状、荷台から飛び出すような大物までガッチリ固定することが出来ます。特にバイクの様に重くて不安定な荷物の積載に強いです。とにかく何かを縛り付ける使い方には非常に適した車体となっています。
またやや反則的な手法ですが、エアコンレスパワステレスの割り切り仕様で65万3400円と最も安値を付けています。
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アクティトラック
バン同様こちらもミッドシップ車で、農道のNSXとしてスバル サンバーと同様に何かとネタにされます。ミッドシップ特有のフロントの軽さを利用した軽快な走りに加え、エンジンを後部に置いたことでシート下に収納スペースを設けたりと運転席の広さを確保しています。
ただその特殊なレイアウトの為か、肝心の荷台の広さは上の2車種に一歩見劣りします。
価格面でもアクティトラックは他にかなり近づけており、キャリィやハイゼットの価格+数万円から選択肢に入ります。ただし商用車として値段にシビアな方からはその数万円が大きいという声も・・・。
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番外編 サンバー
最後に現行機種ではなく、農道のポルシェと言われていた頃のスバル サンバーを番外編として記載しておきます。
現行モデルはハイゼットのOEMですが、2012年式以前はリアエンジンリアドライブのRR方式を採用した自社生産モデルでした。またエンジン本体も軽自動車として珍しい4気筒、更にパワーを増大させるスーパーチャージャー付きと中々ユニークなエンジンを搭載したモデルでした。足回りは4輪独立懸架サスペンションを採用しており、軽自動車としては珍しい仕様です。耐久性を向上した赤帽仕様、スバルお馴染みのWRブルー・マイカで塗装したモデルなどユーザー・メーカー両方に長く愛される車種でしたが、現在は自社での生産を終了し、サンバーの生産ラインは同社スポーツカーBRZの生産ラインになっています。
バン、トラック問わずこの類いの自動車はオーナーが乗り潰すつもりで購入するので、高年式の綺麗な車両が出回るということはあまり有りません。中古車として流通するのはかなり古い個体が目立ちますし、値落ちもしないので新車と比べて値段にお得感も少ないです。どうしてもRR!という方以外は、新車で買える他社の製品から選ぶのがベターです。
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私はこれを買いました
家庭環境的に2シーターが有りだったので、私はトランポとして軽トラックを購入することに決めました。幾つか候補が考えられる中、最終的に購入したのはアクティトラックの5MT仕様です。荷台の広さや安全装備などトラックとしての完成度でキャリィに一歩譲りますが、リアエンジンは室内の静粛性が高く、信号待ちなどの停止時はアイドリングストップ車相当に車内が静かです。同じくリアエンジンのサンバーは残念ながら上玉が出てこなかった…。
5MTは上り坂の多いシチュエーションでは絶対におすすめです。個人的に5速はもう少し伸びてくれるか、6MTになると高速でももっと使いやすいのだけれど。
内装は質実剛健そのものなので、今後少しずつカスタムしていきます。