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レンタルカートとレーシングカートの気になる違いを全部教えます

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こんにちは、MOSです。

レンタルカートは今ではショッピングモールに併設されることも増えてきたので、試しに乗ったこともある人も多いと思います。
一方、レンタルとは別に”レーシングカート”というものも有るので、気になった方も多いのでは。

ここではレンタルカートとレーシングカートの違いを順を追って説明していきます。

レンタルとレーシングは別物

良く言われるのはレンタルカートとレーシングカートは別物ということです。
レンタルカートの比較対象にレーシングカートを持ってくるのは意味が無いよ、ということですね。

まずレンタルカートの特徴は万人がいつ乗っても楽しめる様に最適化されていることです。特に運転経験の無い初心者が乗っても不安を覚えないように、近年はリミッターで速度を抑えたり、あまり過剰な動力性能を与えないように配慮しています。
おかげで、老若男女問わず楽しめるレジャーとして成立しています。

それに対してレーシングカートは本格的なモータースポーツのエントリークラスということで、基本的にはレースを走るための乗り物、という意味合いが強いです。レンタルカートがレジャー用だったのに比べ、こちらはより競技用という感じが強く、クラスによっては一般人には過剰な性能を与えられています。

タイヤの違い

四輪車の基本となるタイヤですが、レンタルカートはレンタル専用のタイヤ、レーシングカートは参戦するレースのレギュレーションに沿ったタイヤ銘柄を履くのが一般的です。

レンタルカート用のタイヤは一度装着したら事実上ゴムの限界まで使い切る上、沢山の人がシェアする都合上、タイヤの持ちの良さ、経済性が求められます。そのためどうしてもライフ重視でグリップは犠牲になる傾向が強いです。

対してレーシングカートの場合、タイヤグリップのピークは極論レースの一日だけ持てば良いという使われ方をするので、ライフよりグリップ重視の設計になっています。限界まで使い切ることは少なく、グリップが落ちてきたら交換するレーシング用タイヤのグリップ力はレンタルより格段に高いのですが、その分維持・管理のコストはかなり割高になってしまいます。

エンジンの違い

レンタルカートはMZ200やGX270など4ストロークエンジンが主流です。馬力は8馬力ほどで、そのおかげで誰でも扱えるスピードになっています。

それに対してレーシングカートは2ストロークが標準で、国内で最も使用台数の多いKTエンジンで15馬力ですから、約2倍のパワーが有ります。

同一のフレームにエンジンのみ交換したとして、レンタル用とレーシング用では1周40秒のコースで5秒くらいタイム差が付くため、ドライバーの腕でカバーできる範疇を超えてしまいます。

更に上位カテゴリーで使われるROTAXなどの水冷125ccで30馬力も有るので、別格の加速力を誇っています。この辺りになるとそれなりのレーシングカート経験が求められ、単なるドライブ好きの一般ドライバーでは乗りこなせなくなってきます。

重さの違い

安全装備が充実しているレンタルカートは140kg前後とかなり重たいです。それに対してレーシングカートは80kgほどしかないので、6割掛けくらい重たくなります。

重い車体にローパワーなエンジンを積んだレンタルカートと、軽い車体にハイパワーなエンジンを積んだレーシングカートでは、どうしても加速・旋回・減速のいずれも性格が異なってきます。

操縦性の違い

基本スペックの異なる両者ですが、最終的な操縦性にも大きな違いとなって現れてきます。

レーシングカートはタイヤグリップが強いため、特にドライの路面ではタイヤの食いつき感を得られ、安心して曲がることが出来ます。そのため、タイトなコーナーでも安心して飛び込めるのですが、今度はリアタイヤのグリップが先に限界を迎えて滑り出すオーバーステア傾向が強くなります。

タイヤグリップを活かして高いコーナーリングスピードを維持して曲がり、立ち上がりはエンジンパワーで一気に加速するというのがレーシングカートの醍醐味で、これが決まると非常に爽快感を味わえます。

レンタルカートの場合、グリップの低さと車重の重さでコーナー入り口ではアンダーステア傾向が強く、どれだけのスピードで曲がれるかは結構マシンと相談しないといけない部分が多いです。速度を落とさないと曲がれませんが、限られたグリップの中でどう曲げていくか、そのあたりの繊細さで勝負するのがレンタルカートの醍醐味です。

特にサーキットによっては安全性を考えて、よりアンダーステアの強いセッティングが為されている場合も有り、曲がるきっかけを作るのに苦労することが有ります。

安全性の違い

レーシングカートは必要最低限の装備に、ドライバーも剥き出しになっているため、ホイール同士の接触で大きく姿勢が乱れたり、激しいときは乗り上げたりします。

クラッシュ時のドライバーへのダメージという点では、レーシングカートの方がリスクが大きいです。とはいえ、レーシングカートで何年もやってる人はギリギリの距離感というかマージンを持つようにしているので、接触は有っても激しいクラッシュになることはまれです。

レンタルカートの場合は、ドライバー同士が全くの初心者であることが有るため、誤ってクラッシュしたり、タイヤバリアに突っ込んでも怪我をしないようにシートベルトや厚いバンパー類が装備されています。絶対的なスピードが低いことも有り、レンタルカートの安全性はレーシングカートに比べて格段に高く、安全です。

耐久性の違い

レンタルカートの場合、車両の外周部に頑丈で重いバンパーが装備されています。

特に最近のSODI系カートは破損しやすいホイールもバンパーの中に収めているため、車両本体へダメージがいかないようになっています。大きなクラッシュをしても車両が走行不能になることはないです。

僕自身も多重クラッシュに巻き込まれたり、あるいは他人がクラッシュしたところを何度も見ていますが、カートが走行不能になるほどのダメージを負ったところは見たことが有りません。

サーキット規約に”カートの破損は場合によって請求”という文言が有りますが、そこまで壊れることはほぼ無いです。

それに比べるとレーシングカートはバンパーといってもそれほど大がかりでは無いので、正直アッサリ壊れます。

特にフロントホイール周りは接触の機会も多く、ホイールとステアリングシャフトをつなぐタイロッドやステアリングシャフトというのは簡単に曲がってしまいます。レーシングカートのドライバーなら一度はこの辺りのトラブルを経験したことがあるはずです。

修理代ももちろん自己負担なので、レース展開次第では予想外の修理代も発生します。

その他、フレームそのものもクラッシュで歪んでしまうことが有り、フレーム矯正という手法で直してもらったりします。

参戦コストの違い

最後にレースに出たときの参戦コストの違いも書いておきます。

基本的にレンタルカートはエントリーフィー以外にお金はかからないので、一戦毎に1万円から2万円の費用を組めば年間シリーズ参戦もできると思います。

レーシングカートの場合、レース毎に新品タイヤを履いたり、事前の練習を含めると1戦毎の参戦コストはすぐに10万円を超えてしまうと思います。
レンタルからレーシングに移行すると、コストは桁一つ上がると思って間違いないです。

レンタルは個人プレー、レーシングはチームプレー

僕自身はレンタルから始めてレーシングに移行した身ですが、そこで思うのはレンタルカートは結構個人プレーが通じて、レーシングカートはチームプレーになるということです。

というのもレンタルカートの場合、マシンやウェア類に至るまでサーキット側が手配してくれるため、ドライバーは乗るだけの状態でスタートできます。そういう環境だと結構個人プレーでも何とか参戦できます。

レーシングカートの場合、勝っている人を見ると大抵はチームで参戦しています。レース当日のマシンのセッティングを決めるのも複数台で検証すれば断然有利ですし、一人では対応しきれないことが多いです。

レーシングカートは参戦コストが安いので、ドライバー一人&マシン一台という最小限の構成でも参戦できますが、この体制で運用していくのはある程度のカート歴が無いと厳しいと思います。レーシングカートで良く有る、お父さんメカニック一人&お子さんドライバー一人、という2人構成のチームが最低限欲しいところです。

レーシングカートというモータースポーツのエントリークラスですが、既にチームプレーで勝つスポーツという感じが強いです。

まずはレンタルカートで勝負

長くなりましたが、2022年現在、恐らくほとんどの人がレンタルカートからスタートすると思います。

ここまで読んでレーシングカートへステップアップしたい、という方は是非レーシングカートへステップアップしてみて下さい。実際、地元のSLレースでは地元のショップやチームが参戦している例は多く、そういったところへ同席させて貰うのも有りだと思います。初心者がとりあえずヤフオクで中古カート買って参戦、というのは最初はかなりハードルが高いです。

一方、今現在レンタルカートで走っている方は、SWSなどレンタルカートのレースで頂点を目指してみるのも大いに有りだと思います。マシンの限界値が低い分経験の浅いドライバーでも限界を引き出しやすいので、SWSのレースは上位では非常に接戦になります。実際、初参戦で優勝という人も少なからず見ています。出走台数も下手なレーシングカートのレースより多いです。

正直レンタルカートで成績を残してレーシングカートにステップアップ、というルートは確立されていなくて、明確に分かれている感が強いです。その中で、レンタルはここまで、と決めてレーシングに移行するという人がほとんどです。これはレンタルカートに比べて、レーシングカートはその後フォーミュラや箱車へステップアップすることも可能、というのが大きいです。

見切りを付けてレーシングカートでステップアップするか、レンタルカートという枠の中で成績を残すか、その辺りはお財布とも相談という感じですね。