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真空管ポータブルヘッドフォンアンプ、エレキット TU-HP01を試してみた

エレキット TU-HP01

ポータブルアンプはソニーのPHA-1Aを使っていましたが、真空管アンプも使ってみたく、安価の割に評判の良いTU-HP01を試してみました。

エレキットのポータブル真空管アンプ

エレキットさんの真空管アンプ自体は同社Tu-810の時代にお世話になっており、音質に関してはかなり信頼しています。最初に言ってしまうと、このTU-HP01も中々コストパフォーマンスに優れた一台でした。
梨地のアルミ筐体は適度に高級感が有り、重量も軽く、これなら持ち歩くのも不自由有りません。振動によるマイクロフォニックノイズは上手に抑制されているため、ほとんど気になりませんでした。
またエレキットというと組み立て式のアンプを連想される方も多いと思いますが、このTU-HP01に関しては組み立て要素はせいぜい乾電池を取り付けるくらいです。電子工作の予備知識は必要有りません。

真空管はRaytheon:6418

ポータブルアンプの筐体に収めるため、真空管はいわゆる電池管で有るRaytheon:6418を使用しています。消費電量が小さくポータブルアンプにも内蔵できる小型真空管です。見た目は華奢な感じで発熱量、発光量は控えめとなっています。それでもわずかに駆動中はわずかにオレンジ色に発光し、いかにも真空管といった雰囲気を感じさせてくれます。筐体にはわずかに小窓が有り、そこからこの真空管が作動する様子を目視することが出来るのも嬉しい設計です。

また、真空管としては暖気にそこまで時間が必要なく、音が安定するまでの時間は5分くらいといったところでしょうか。
残念ながら真空管アンプの醍醐味である真空管の交換は気軽に出来ない作りになっています。真空管の足を半田付けしてしまうため、取り外すことは難しいです。

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オペアンプ差し替え機構を搭載

真空管の差し替えは出来ませんが、TU-HP01は基板上のオペアンプを交換することで音質を調整できる面白い機能が内蔵されています。標準ではMUSE8820が搭載され、付属品にはOPA2604が用意されています。この2つの好みの方を使うことも出来ますし、市販のオペアンプに交換することも出来ます。出力ゲインのアップなども対応可能ですので、オペアンプを一式揃えてみるのも面白いですね。

音質は高解像度というよりは艶を足す暖色系で、あまり嫌な音を出さない傾向が有ります。適度に甘い音になるのでイージーリスニングには最適です。ボーカルも艶っぽく非常に魅力的に聞こえる真空管特有の癖を上手く生かしています。
難点を挙げるとすれば、ゲインをハイレベルにしてもヘッドホンの能率次第では少し音量の限界が見えてしまうことです。とはいえ、音量重視でヘッドホンの能率を高くすると今度は少しホワイトノイズが残ってしまうので難しいところですね。推奨は16Ωから32Ωですが、もう少し高くても良いように思います。

バッテリーの持ちはかなり良好

公称スペックは10時間ですが、もう少しだけ使えるようにも思います。とはいえアルカリ乾電池を使い捨てにしていくのはいささか気が引けるので、エネループなど充電式の乾電池を使用するのが良いでしょう。
最近ではプライベートブランドのいわゆるアマループなども販売されていますが、TU-HP01で使用する単4電池4本なら意外とエネループも割安で購入することが出来ます。

1万円半ばの価格ならコストパフォーマンスは良好

TU-HP01の現在の市場価格は1万円半ばほどで、この価格なら十分納得できる音質が出ています。特に音楽の艶感、女性ボーカルの音質を重視する方には非常におすすめです。反対に音の激しさ、高解像度を求める方にはあまり向かないかもしれません。
いずれにせよ現在の価格で購入できるなら、十分お買い得なポータブルアンプです。

ちなみにヘルメット用スピーカーのサウンドテックなどは、本体式の巻き取り式の延長ケーブルが付属しています。これらの単体で売られているスピーカーはインカムのアップグレードパーツとして認識されがちですが、実はこれ単体でもスマートフォンや携帯音楽プレーヤーと接続することで音楽やナビ音声の試聴が可能です。有線接続なので、無線接続のインカムと比べると着脱が少し面倒なのが悩みですが、インカムは下手するとヘルメットと同じくらいの値段だから多少はね? サウンドテックに関してはヘルメット用スピーカーとして販売されている中でも、音質、作り共に良好で安心感が有ります。
シールドの小さいジェットヘルメットなど走行風が多く吹き込んできて十分な音量が取れないときは、本機の様なポータブルアンプを使用すれば出力を十分に増大させることが可能です。