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FOSTEX T40RPmk3nは密閉型の癖を抑えた万能型【レビュー】

FOSTEX T40RPmk3n

半年ほど前、FOSTEXのRPシリーズの代表格、T50RPmk3nを購入しました。今回はそれに続いて密閉型のT40RPmk3nを追加購入してみました。半開放型と密閉型という違い以外ほぼ同じヘッドホンですが、どのくらい違いがあるのでしょうか。

T50RPmk3nの購入から半年

ちなみにT50RPmk3nについて書いた記事はこちらです。価格を考えると音質的には申し分ない出来だったのですが、最近ケーブルが断線気味でした。個人的にヘッドホンのケーブルが半年でダメになった経験はなく、端子を固定する構造を考えるとちょっと基本的な構造でこのシリーズはケーブルに負担がかかるのかもしれません。ちなみにケーブル自体は着脱式なので交換して直すことは簡単です。
ただT50RPmk3nには兄弟機が2種類有るので、折角だから他を購入してみることにしました。

密閉型のT40RPmk3n

FOSTEX T40RPmk3n

まず今回購入したT40RPmk3nは密閉型です。T50RPmk3nは半開放型だったので、それに比べると少しだけ遮音性が上がりました。とはいえ筐体の設計はほぼ同じです。両者を並べてみても完全に同じ形状をしていますね。違いがあるとすればT50RPmk3nのハウジングに有ったスリットがT40RPmk3nでは無くなって完全な密閉構造になっていることでしょうか。
イヤーパッドの質感、ヘッドバンドのホールド性なども変わりないです。

ポータブルよりはホームオーディオ寄り

T50RPmk3nの時もそうでしたが、このシリーズはスマホ等のポータブル機では音量が取りづらいです。インピーダンス50Ωの割にはヘッドホンアンプが無いとしっかり鳴らすのは困難なくらい音量が取れない仕様になっています。そのおかげで多少ノイズの残留する環境でも無音で楽しめます。ノイズ耐性は比較的強いです。
そういう点を踏まえると、しっかりとしたアンプを用意できるホームオーディオ向けの製品と言えます。しっかり駆動力をかければ、別物の様に元気に鳴ってくれます。

中低域の力強さならT40RPmk3n

肝心のT40RPmk3nの音質は、まず密閉型特有のこもり感は限界まで抑えてあって、ほとんど気になりません。半開放型のT50RPと比較してもそこまで差は無いと思います。ただし密閉型だけ有って、低音域の密度感や力強さの表現はこちらの方が得意な印象です。
ヴォーカルはこちらの方が元気が良い反面、情報量というか表現力においてはT50RPの方が細かい表現が出来ているようにも思います。わずかに音の抜けを良くしているからでしょう。

出音は結構似ているかも

先ほども述べた通りT40RPmk3nはあまり密閉型っぽくない、良く言うと癖の無い音作りが特徴です。ですから密閉型に多く見られるパンチの効いた低音域を期待するとT40RPmk3nはやや期待外れになるかもしれません。しかし篭り感の少なさから、密閉型特有の癖の強さは抑えられており、どんなジャンルを再生しても破綻することは有りません。個人的に中低域のクオリティを何より重視するならT40RPは悪い選択肢では無いと思います。

この価格帯で密閉型、半開放型、開放型と揃えている例にベイヤーダイナミックのDT770PRODT880PRODT990PROが有ります。向こうが一つ買うと他もコンプリートしたくなるほど特徴が有るのに対し、FOSTEXのRPシリーズは各モデルの差はそこまで大きく無い様に思います。微妙な差なので使い分けにはあまり向いていません。
個人的にT40RPmk3nの方がヴォーカルが目立つ傾向に有りますので、歌唱曲メインで楽しむならT40RPをおすすめします。