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N-VANはアクティと比べてどう進化した?ホンダの新世代トランポを検証してみる

N-VAN

アクティユーザーの私としてはホンダの新型軽バン、N-VANにはかなり注目しています。箱バンはトラックとはまた異なる使い易さが有って、安価なトランポが欲しいという方にはうってつけの車両です。

トランポだけじゃなく、車中泊などに快適な設計

N-VANの特徴は助手席側にセンターピラーが無く、サイドに大きな開口部を設けていること、そして助手席まで折りたたんでフラットな荷室を作れることです。

この点はN-BOXと比べても格段に形状が良く、車中泊目的に買っても良いくらいです。2635mmと大人でも余裕で横になれる長さを確保しています。側面から大きい荷物を入れ込むことも容易ですし、より『積む』ことに徹した感が有ります。

インテリアもアクティバン時代より進化した点で、バモスと比べても出来は良いです。
手動だったエアコンはオートエアコンになりましたし、一般の需要も見越してインテリア、エクステリアには凝ったアクセサリーも豊富に用意されています。

例えば随所のウレタン素材がいかにも商用車然としていたアクティに対して、N-VANでは本革ステアリングカバーやシフトノブが用意されていますし、キーカバーもスタイリッシュな物からかわいらしい物まで、男女を選びません。ウッド調のインテリアパネルなど、ラグジュアリーさをプラスするアクセサリーも用意されています。

ホンダらしくバイク用トランポとしての使用も想定

N-VAN

競技車両を多数販売しているホンダの軽バンらしく、メーカーもバイクを積むのに使ってくれとアピールしています。

屋根が有る分、頭に気をつけないといけませんが、荷室はバイク一台がすっぽり収まる大きさです。ジャージやつなぎもハンガーにかけて、綺麗にセットで収まる様に設計されています。

また助手席がフラットに使えるメリットを利用して、フロントホイールクランプでバイクを固定している例も散見されます。荷室に余裕が有る為、こういう使い方も出来るのですね。高さに余裕が有るなら、クランプでしっかり止めたほうが荷崩れも防げますし、長距離移動も安心です。

トラックと比べてどう?

トランポの代表格である軽トラックと比べてどうか、というのはやはり車両を選ぶ際に気になるポイントです。

まず軽トラックでも意外なほど荷台の収納力は高く、R1200GSの様な大型バイクでも何とか入れ込むことが出来ます。しかし大型バイクでは全長が長すぎて荷台に載せた後ちょっと角度をずらすことが必要です。

その点、助手席までフラットに出来るN-VANはまっすぐ突っ込むだけで収めることが出来るでしょう。ただし屋根に余裕が無いため、ハイルーフ仕様は必須です。

従来の軽バンは運転席と助手席の間にフロントを入れ込んだりしていましたが、N-VANのやり方はよりスマートです。更にこの荷室は遠征先での簡易の寝台としても使える点で、軽トラックに対して大きなアドバンテージを持っています。

個人的には車中泊の予定が有るなら、トラックよりバンタイプがおすすめです。完全に運送手段として用いるなら、屋根が無く、作業性に優れるトラックの魅力も活きてきます。

N-VANは駆動方式がMRからFFになった

RRのサンバー、MRのアクティと並び称される様に、商用車の中でもミッドシップを採用しているのがホンダのアイデンティティでした。

しかし今回N-BOXベースとしたことで、N-VANの駆動方式はFFになっています。これは車好きには意見の分かれるところです。特にトランポとして軽バンを購入する方は何かしら拘りが有ると思うので、MRがFFになってしまったのを残念に思う方もいるでしょう。

変更されたメリットとしてはFF化でプロペラシャフトが無くなり、荷室の高さが低くなったことが挙げられます。軽バンや軽トラックは意外に荷室に高さが有り、重いバイクを積み込むのは怖いです。しかしN-VANでは従来より100mm以上高さが下がり、より積み込みやすくなりました。

更にフロントエンジンになったことによる整備性の改善や、フロントホイール駆動による走破性の高さもメリットです。特にアクティは冬場のスタッドレスではテールスライドが起きやすく、カウンターステアを切ることも多かったので、N-VANはその辺り少し良くなるでしょう。普段の整備性もミッドシップのアクティに比べれば、N-VANの方がエンジンにアクセスしやすいです。

トランスミッションが6MTとCVTになった

まずアクティバン時代の5MT+3ATに比べると、N-VANは6MT+CVTという設定に一新され、かなり現代的な構成になりました。ギア比が低いため5MTでも加速には問題は無いのですが、なにせ遮音材は必要最低限の軽自動車ですからエンジン音はミッドシップでも結構うるさかったです。6MTになれば高速巡航時、もうちょっと静かになりますね。

組み合わせるエンジンもE07ZからS07Bに変更されたことで、カタログ上の燃費は改善していて、FFでは6MT18.6km/L、CVT23.8km/Lとなっています。特に3ATからCVTに変化したオートマ車の燃費は大きく改善しました。

出力面もターボ付きでは64馬力しっかり出ているため、軽の商用車の非力さもかなりカバーされています。特に非力な軽トラックは街中で煽られやすい為、もう少しキビキビ動く車両としてN-VANを選択するというのは有りだと思います。

性能面で向上しても価格は極力維持してくれた

商用車は価格を抑えるため、ABSなど今時の車では当たり前に付いている装備が省略されるケースが有ります。「安ければ乗り味はそれなりでも」という事業者の切実な声が聞こえてきそうです。

しかしN-VANはHonda SENSINGが搭載されて走行性能の高さも一定の担保が為されている印象です。これは競合のダイハツやスズキが安全装備の搭載を始めているのが少なからず影響していると思われます。

一方で価格は約127万円からとアクティ時代と大差有りません。競合するスズキやダイハツと比べると元々の価格が高いのがネックですが、N-BOXに比べれば安いです。今時の安全装備を搭載しつつ、タフに使える道具として車を利用したい人には、今回のN-VANは結構良い新型と言えます。

軽トラックも含めた軽トランポの紹介記事はこちら

以前にホンダのアクティやダイハツのハイゼットなどトランポの比較記事を制作しました。

他の車種とも比較したい方はこちらをどうぞ。

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