600cc~

X-ADV (ホンダ)

ホンダ X-ADV

予ねてよりホンダが開発していた新型スクーター、X-ADVがいよいよ発表となりました。スクーターの高い利便性と、アドベンチャーバイクの走破性を併せ持ったこれまでに無いキャラの立った一台です。

X-ADV 2017-

ホンダ X-ADV

X-ADVはそれまでホンダが大型スクーターとして販売していたインテグラの次のモデルとして制作されました。オンロード主体のインテグラに対して、X-ADVはオフロードも視野に入れた作りでコンセプトを一新しています。

そのため、X-ADVの始祖としてかつてホンダが販売したモトクロッサー兼スクーターのEZ-9を挙げる人もいます。完全にクローズドコース用だったEZ-9に比べて、X-ADVは公道メインのコミューターとして作られています。

スタイリングはスクーターのそれをかなりベースしていますが、足回りはどちらかというとスポーツバイクに近い作りです。車体サイズは2230×910×1345mmで、他の大型スクーターと同等です。ただ横方向にはかなりシェイプされている分、X-ADVは数段スリムに見えます。車両重量は見た目以上に重く239kg有り、TMAX530より重いというのは少し気になる所ですね。オフロード走行をガンガン楽しむスクーターとしてなら、もう少し軽いと良かったのですが…。

大型のウインドスクリーンや大胆な造形のライト周りは、いかにもデュアルパーパスらしい見た目に仕上げています。このクラスのスクーターは『大人の乗り物』としてラグジュアリーなデザインが主流ですが、X-ADVはそれらに比べて数段スポーティです。
スクリーンは角度と高さの調整が可能で、C650GTなど他のツアラー系メガスクーターと比較しても高く、前方からの風を大きくカットしてくれます。ハンドガードが標準装備されているのも嬉しいですね。オプションのフォグライトを追加することで、照明の乏しい夜間や林道での走行にも対応します。

メーター周りはデュアルパーパスを意識した大型の液晶メーターを採用しました。ウインドスクリーンのカバー範囲も広い為、胴体や首元に当たる走行風をかなり抑えてくれます。

ホイールはフロント17インチ、リア15インチのステンレススポークホイール仕様。このクラスのスクーターでスポークホイールというのはあまり例が有りません。タイヤはオフロード走行を想定してブロックパターンが施されていますから、従来スクータータイプで侵入困難だった未舗装路等でも安心して走行することが出来ます。

フロントサスペンションは大径の倒立フォークに、NISSIN製のラジアルマウント4ピストンキャリパーを装備しています。ブレーキディスクは310mmのダブルディスクで、スーパースポーツにも引けを取らない制動力を達成しました。またABSを標準装備しているので、制動時のホイールロックの不安は少なく、実際にハードに使うライダーだけでなく、もっと幅広い層に愛用して頂けます。

ホンダ X-ADV

スイングアームは作り込まれた専用品のおかげで剛性は高く、オンロードにおけるスポーツ走行でも十分な性能を発揮してくれます。駆動方式は兄弟機のインテグラ同様、チェーンドライブ式となっています。広範囲をカバーで覆っている為、オフロードでの損傷のリスクは低いです。

ホンダ X-ADV

シート下には21Lのラゲッジスペースが確保されており、フルフェイスのヘルメットが収納可能です。インテグラに比べると若干容量が拡大され、ようやくスクーターとして実用的なサイズとなりました。専用リアキャリアにトップケースを増設する等、積載性はスクーターらしく高めに設計されています。

X-ADVのエンジンは745cc水冷直列2気筒を採用しており、ボアストロークは77mm×80mm、圧縮比は10.7:1。最大出力は54馬力/6250回転、最大トルク6.9kg・m/4750回転となっています。スペックから見ても分かるとおり、同排気量のNCシリーズやインテグラの2気筒エンジンを積んでいます。このくらいの排気量なら一般道は勿論、高速道路の走行でも余裕が有りますね。
またこのエンジンは非常に燃費の良い2気筒としても知られています。ライバルと比較して燃費が良いというのは、X-ADVの大きな特徴です。40km/Lというスペックは、ライバル達を圧倒しています。大型スクーターは燃費がちょっと…と悩んでいた方にもX-ADVはおすすめです。

トランスミッションはCVTではなく、ホンダが売りにしているDCTが搭載されています。
ホンダのバイクで既に多数採用されているDCT(Dual Clutch Transmission)は、AT感覚で変速してくれる他、セミATとして自分好みに変速させることも出来るので、MTバイクを好んで乗ってきた方にも受け入れやすくなっています。

冒険心溢れる作りは若者向けに見えますが、シティーコミューターとしてもしっかり作られていることがわかります。問題は車両価格が120万円とかなり高額になってしまったことでしょうか。専用の設計の部分が多い為、この価格になってしまったことは想像に難く有りませんが、NCシリーズやインテグラが70万円から90万円のミドルクラスに収められていたことを考えると大分差が有ります。この価格では売れないのはホンダもわかっているのか、年間の計画販売台数は400台と控えめです。

大型バイクはどうしても趣味の乗り物の為、幅広い層から凄い人気を集めるということは難しいですが、普段の快適性を犠牲にせず、スポーツ走行にも堪えるスクーターに仕上げたのは流石です。ニッチな乗り物であることは間違い有りませんが、従来の大型スクーターが走行できなかったオフロードに歩み寄ったホンダの意欲作です。

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