クラウドファンディング

CAMPFIRE、Makuake、Kickstarter、Indiegogoとクラウドファンディングサイトを使って感じた違いをまとめてみた

kickstarter

こんにちは、MOSです。
このHPではKickstarterやMakuakeなど複数のクラウドファンディングサイトでキャンペーンを立ち上げてきました。今回はそれらのサイトの特徴を順番にまとめてみます。

2018年は10回のクラウドファンディングを実施しました!

振り返ってみると今年のUnderPowerMotorsは完全にクラウドファンディングの1年でした。今年初めてのキャンペーンはこいつで、始めたのは6月なんですね。そこから半年に10回なので多いときは一月に2回ペース…最初は冗談で二ヶ月に1回くらいやりたい、なんて言いましたがそれを遙かに超えるハイペースぶりでした。
今も3つのキャンペーンが動いており、自分でもかなりハイペースでキャンペーンを立てていると思います。

クラウドファンディングを極める!という気持ちでいましたので、とにかくキャンペーンを切らしたくない一心でした。

クラウドファンディングサイトはどこも個性的

私が始めてクラウドファンディングを行ってからもうすぐ丸2年。その間、4つのクラウドファンディングサイトを利用してきました。海外ではKickstarterとIndiegogo、国内ではCAMPFIREとMakuakeです。

クラウドファンディングという仕組みは同じですが、実際にキャンペーンを立ててみるとどのサイトも設計思想は様々で同じ動きをすることは有りません。
人の集まりやすさ、という点でも大きな変化が見られるので、これからクラウドファンディングをやりたい、という方はまずサイト選びを慎重に行って欲しいと思います。

プロジェクト開始までの早さ

次に4つのクラウドファンディングサイトを各条件毎に分けてみました。まずはキャンペーンの開始までの早さです。

これはアイディアを思いついてからどれだけ早く公開までこぎつけられるか、という点で重要な項目です。あまり時間がかかるとダレてしまうことも有りますし、反対に時間に余裕が有るなら準備を並行して進めることも出来ます。
肝心の順位ですが、

Kickstarter=Indiegogo>CAMPFIRE>Makuake

の順で早いです。IndiegogoとKickstarterは審査そのものが簡易化されているため、やり方を間違わなければ一週間かかりません。個人の認証も非常に早いです。

CAMPFIREはサイト側で画像やテキストが精査されるため、一度は必ずやり直しを行う印象です。リターンの内容なども細かく突っ込まれるため、一発クリアは初めての人には無理でしょう。また休日は運営の休業日で審査が進まないため、土日は待機時間となってしまいます。

Makuakeは4社の中では最も遅いです。これは他のサイトが通常1回の審査を行っているのに対し、Makuakeは3回の審査を行っているからです。
審査工程が多い分、Makuakeでキャンペーンを開始するのには一ヶ月はかかります。私はかなり早めに資料を出しましたが、それでも一ヶ月はかかってしまいました。企業としてキャンペーンを立ち上げるなら、お互いの承認作業も有るのでもっとかかるのではないでしょうか。

審査の通りやすさ

次に審査の通りやすさです。
基本的に自分のアイディアならまず審査で問題視されませんが、他の人に権利の有る資料などが入っていると少し厄介です。特にイラストや写真は注意が必要で、権利周りを確認されることが有ります。

その上で順位付けすると、

Indiegogo>Kickstarter>CAMPFIRE>Makuake

の順になります。

Indiegogoは本当に来る物拒まず、といったサイトで、Kickstarterが日本に対応していなかったときもいち早く全世界に対応していました。Kickstarterも審査は自動化されていて、跳ねられることはあまり有りません。
審査落ちするときは目標金額が高すぎる(低すぎる)、あるいは配送スケジュールが短すぎるなどキャンペーンの設定部分で落とされます。内容にはあまりタッチしません。

CAMPFIREとMakuakeで比較すると、単純に審査回数が多いMakuakeの方が審査に通りにくいと言えます。

意外に海外は著作権周りが緩い

海外は著作権意識が非常に高いように思われますが、少なくともKickstarterなどは普通に二次創作案件でもキャンペーン立ち上げが出来、厳しいイメージはありません。むしろ国内のクラウドファンディングサイトの方が、その辺りしっかり見ています。

キャンペーン運営者へのおすすめ度

最後にキャンペーン運営者へのおすすめ度です。これは幾つかの前提条件を設けました。というのもサービスを届けたいユーザー層が運営者毎に異なるからです。

基本的に日本人にだけ届けたい

Makuake>CAMPFIRE>Kickstarter>Indiegogo

まずキャンペーンの対象が日本人に限定されるなら、国内サービスを利用するのが確実です。この時点でMakuakeやCAMPFIRE、あるいは他の国内サービスに絞られます。

Kickstarterにも日本人は少なからずいますが、やはり圧倒的に少数派です。キャンペーンページを日本語オンリーで立ち上げる人もいますが、英語表記が無いと厳しいです。英語対応が難しい場合は、Kickstarterなどの海外サイトは外して良いと思います。

MakuakeをCAMPFIREより上にしたのは、単純にサービスの質としてMakuakeの方が良い結果を得られやすいと考えているからです。

個人でキャンペーンを行うとき

Makuake>Kickstarter>CAMPFIRE=Indiegogo

次に個人、もしくはごく少数でキャンペーンを行いたい、という人には上記の順になります。

Makuakeは個々のキャンペーンに担当者が付いてくれて、ノウハウの提供も受けられるため、実は一番サービス面で手厚いです。はじめてクラウドファンディングを実施する人にもMakuakeを推奨します。

Kickstarterは個人単位でキャンペーンを立ち上げる人が多く、そういった人を支援する土壌も整っているため、上手く流れに乗せれば支援は集まってきます。

CAMPFIREはMakuakeとは対照的にユーザー任せなところが有るので、Indiegogoと共に第三位としました。

完全な新規アイディアを試したいとき

Kickstarter>Makuake>Indiegogo>CAMPFIRE

次に市場に類似製品の無い、完全に新規のアイディアを公開する場合です。
こういったケースではKickstarterは積極的に支援する雰囲気が有り、キャンペーンページを見てもらうことさえ出来れば出資者が必ず現れます。

Makuakeも一定の露出機会が有り、アイディアを試すには良い条件が揃っています。

IndiegogoもKickstarterと同様ですが、Kickstarterでキャンペーンを立ち上げられるなら敢えて選択する要素は少ないです。
CAMPFIREに関してはサイトの運営方針など新規アイディアを試すには正直向いておらず、あまりおすすめは出来ません。

CAMPFIRE

ここからは各クラウドファンディングサイトについて詳細をまとめていきます。まずはCAMPFIREからです。

CAMPFIREのイメージというと、一般的には審査が通りやすい、気軽にキャンペーンを立ち上げられる、といったところだと思います。かなりカジュアルな雰囲気で売っています。実際、国内最大手を争うMakuakeと比較すると審査は緩いです。

ただしCAMPFIREは個人や小規模なグループがキャンペーンを立ち上げるのは本当に厳しいサイトです。ここは基本的に「クラウドファンディングのシステムは貸すから集客はそっちでやってね」というスタンスです。なので個人がCAMPFIREを利用しても集客するのに非常に苦労する状況です。

対照的に今年はタニタが5000万円を集めたり、最近ではゆるゆりが最速ペースで6000万円を集めたりと活躍しています。
CAMPFIREではこうした自身のコンテンツ力で集客出来るキャンペーンが強く、また人が集まってきているキャンペーンをトップに固定表示するため、そこに一極集中する傾向が有ります。

活動報告がトップページに掲載されるのはMakuake同様ですが、こちらは非常にログが流れるのが早く、正直あまり機能していません。

CAMPFIREに向いている人

前述の通り、既に自社HPやSNSなどでしっかり集客できている、もしくはビジネスとして既に成立していて見込み客が多数存在する、という人はCAMPFIREでは強いです。
あるいは広告費をかけて集客のパワープレイが出来る資金力が有るなら、CAMPFIREは都合が良いサイトと言えます。

対照的に、見込み客のリストが無く、CAMPFIREユーザーにまずリーチしていく、という人には厳しい印象です。買い手の付いていない新規のアイディアがCAMPFIRE内で正当な評価を受けるのは難しいでしょう。

補足として、クラウドファンディングとは別にサブスクリプションサービスの「ファンクラブ」を提供しています。こちらは月額でコンテンツを提供する仕組みのため、定期的に何か作っている人に向いています。

Makuake

MakuakeはCAMPFIREより一段敷居が高いイメージです。ただし「この世界の片隅に」など大型の成功事例も多く、国内大手の一角です。正直、個人利用に関しては、国内サイトの中ではMakuakeを最もおすすめしています。

運営するサイバーエージェントには、あまり個人優遇のイメージが無かったのですが、実際のMakuakeは熱意の有る小規模プロジェクトに最も優しく、頑張った分だけメリットを得られる、凄くユーザーフレンドリーなサイトでした。

まず一日当たりのキャンペーン閲覧数がCAMPFIREの5倍から8倍とかなり多いです。キャンペーンの絶対数が少ないことで露出の機会が多い上に、トップページの活動報告欄がかなり効いています。
キャンペーンの活動報告の記事を書くとそれがトップページに表示されるため、そこからの集客が可能です。こんなことはKickstarterでは考えられないことで、キャンペーンに集客する仕組みが確立されているのは凄く有り難いことです。

キャンペーン立ち上げ時には専任の担当者が付いてくれるため、リターンの価格設定なども逐一相談に乗ってくれます。反面、昼間に電話対応できない社会人は時間繰りが少し大変かも知れません。夜間でもメール返信が返ってくるのは、相手が何時休んでいるのか少し心配になります。

キャンペーン公開後も、ユーザーが積極的に支援していく雰囲気に溢れているため、自然に支援が集まりやすいのは大きな特徴です。

一方で審査はやはり相当に厳しく、ここはその点で突出しています。
他のサイトが身分証の提示くらいで本人確認を済ますところ、住民票や印鑑登録証明書といった公的書類、プロダクト量産コストの見積もり、協力者の同意書などの提出を義務づけています。申請に用いた印鑑も必要なので、プロジェクトの遂行能力や本人確認をかなり精査しています。正直こんなに厳しいのはMakuakeくらいです。

Makuakeに向いている人

先ほども述べたとおり、Makuakeは活動報告を書けば誰でもキャンペーンをトップページに表示させることが出来ます。つまりブロガーの様に毎日記事を書くことが苦で無い人には非常にやりやすいです。

個人でもトップページ上から大量に集客できるため、まだ十分な集客の出来ない小規模プロジェクトが支援を集めやすくなっています。
極端な話、CAMPFIREで苦戦する小規模キャンペーンはMakuakeに来ればハッピーになれる可能性が高いです。

Kickstarter

クラウドファンディングサイトの世界王者は今も昔も間違い無くKickstarterです。2017年には晴れて国内対応を果たし、気軽に日本からキャンペーンを立てることが出来るようになりました。

Kickstarterは非常に独特な場で、アイディアさえ良ければ今の知名度に関係なく支援する雰囲気に満ちています。支援者数だけで言うとKickstarterは特に集まりやすいですね。その為、始めて公にするアイディアを出す場として、Kickstarterは非常に面白いです。

一方で集客に関してはCAMPFIREよりも素っ気なく「基本自分でやってね」というスタンスです。そのためKickstarterにキャンペーンを出しただけでは中々集客することが難しいです。海外ではSNSへの広告出稿も当たり前、という雰囲気なのでKickstarterに挑戦するなら集客プランは事前に良く練っておいた方が良いでしょう。
一部抜け穴として、Kickstarterのお気に入りである「Project We Love」に選ばれるとKickstarterのサイト上で大きく露出する機会が有ります。ただしこれは狙って選ばれるのは非常に難しいです。

注意点として、Kickstarterは手数料が10%ほどで国内のクラウドファンディングサイトと比べて数段安いです。ただしMakuakeなどは集客までやってくれるため、この差額はあまり意味をなさないように思います。
例えば10万円の調達で5%の差額手数料が発生しても、わずか5000円です。5000円で独自の広告を打って成果を出す、これは非常に難しいように思います。リスティング広告を打ったことの有る人ならよく分かるでしょう。

国内クラウドファンディングサイトの手数料は一見割高ですが、実際に使って比べてみるとその差額に見合った仕事はしてくれています。手数料の安さだけでKickstarterを選ぶのは得策では有りません。

Kickstarterに向いている人

Kickstarterはとにかくアイディア重視な一面が有ります。また基本的に英語対応必須なので、英語が苦にならない人ほどKickstarterでは強いです。世界規模でユーザーを獲得したいなら確実にKickstarterを推奨します。北米以外にもヨーロッパ、アジア地域と注文の来る地域が幅広いです。

後はリターンの価格設定が100円からと非常に自由度が高いため、変わったリターンを設定したり、超小規模のキャンペーンでもトライしやすくなっています。

Indiegogo

世界的に見ると、IndiegogoはKickstarterに次ぐ二番手という印象です。実際海外でもそういった扱いを受けています。
現状大規模プロジェクトの成功率でIndiegogoはKickstarterに遅れを取っており、プラットフォームとして差を付けられています。
個人的にはHPの使いやすさ、といった面ではIndiegogoの評価は高いです。というよりKickstarterのシステムに癖が有り過ぎるんですが・・・。

日本からキャンペーンを立ち上げる、と考えたとき、Kickstarterが使える2019年現在ではIndiegogoを敢えて選ぶ必要性は少ないでしょう。
例外としてはコミックなどのエンタメキャンペーンは感覚値としてKickstarterと同等か、それ以上のポテンシャルを見せるときが有ります。

Indiegogoに向いている人

2019年現在、Indiegogoに積極的に出す要素はあまり多く有りません。ただし人的リソースが十分有り、他のサイトと同時にキャンペーンを出す、というならIndiegogoを利用する価値は有ります。

実際に海外でもそういう使われ方が推奨されており、二番目のクラウドファンディングサイトとして活用するのが良いでしょう。

国内サイトも非常にポテンシャルが高い

クラウドファンディングというとまずKickstarter、という雰囲気が有りますが、今では国内のクラウドファンディングサイトも非常に成熟しています。
これはKickstarterが日本進出を足踏みしていた間に、国内で独自の成長を遂げたからです。国内向けキャンペーンなら無理してKickstarterを選ぶメリットは無くなっています。

むしろ最近のトレンドは、国内のサイトで一定の成功を遂げたキャンペーンが、Kickstarterで追加の出資を募るという物です。なのでまずは様子見も兼ねて国内のサイトのどれかを選んでみると良いのではないでしょうか。

CAMPFIREやMakuakeの他、音楽・映像に強いMotionGalleryなど他のサービスも充実しています。

でも私としてはMakuakeを断固おすすめしたい。