コラム

免許を取りたい定年間近の親父殿向け中型バイクを考えてみた

私事ですが、父がもうすぐ定年を迎えます。老後の趣味というと登山とかお遍路とか世界一周とかが一般的ですが、どうも本人、普通自動二輪を取得したいらしい。しかし50代から初めてのバイクとなると、体力的にもあまり過激なのはおすすめしづらい、というわけで独断と偏見に基づいたメタボリティな親父殿向けのバイクを考えてみました。

排気量別に分けましたが、あくまで最初のバイクとしてのセレクトなので過激なモデルは含まれておりません。

維持費も安く、30km制限も無い街乗りが快適な125cc

125ccの場合、自家用車を所有し、そちらで保険に加入されているご家庭ではファミリーバイク特約を使うことが出来ます。頻繁に乗車しないのならば、保険代を節約出来るのは大きなメリットです。家計への負担を考えると、原付2種は増車した際の負担が少なく、趣味の乗り物を追加する時におすすめの選択肢です。

スポーツタイプは積極的なメーカーとそうでないメーカーに別れており、意外に選択肢が狭まりがちですが、スクーターは各社ラインナップに入っています。

ヤマハ トリシティ

最初はかなり実用的な奴を候補に選んでみました。原付2種は法律上高速道路を走行することが出来ません。近場への足としての荷物の積載性も考えるとスクータータイプは悪くないチョイスです。また、前輪が2個付いているのでフロントタイヤのスリップによる転倒の恐れも有りませんから雨天走行時も安心です。免許取得早々転倒して怪我やバイクの破損といったリスクは少なくなります。前2輪の先進的なルックスも有り、他のスクーターとは違うものに乗りたい方にはトリシティはおすすめです。

もう少し省スペースなモデルを求める方にはPCXかNMAXの様なフロントにボリュームの有るスクーターが良いでしょう。適度に重量が有り、スクーターの中でも特に走りが安定しています。

KTM 125DUKE

125ccのSSは基本的に過激路線で最初のバイクに辛いです。そこでもうちょっと気軽に扱えるネイキッドタイプを選んでみました。この125DUKEは同社のSSのRC125に比べればかなりリラックスして乗れるはずです。車重も乾燥重量127kgと非常に軽く、オフロード車並の重量をしています。ハンドリングの軽快感も相俟って、自分の思い通りに動かすことの出来る取り回しの良さを体感できる小型スポーツバイクです。

本体価格が250ccクラス並と高額なことがネックですが、クロモリ製のパイプフレームや倒立フォーク等、125ccとしてはオーバースペックな程に装備面は非常に充実しています。KTMは国産車と比べても俊敏な走りに特化した作りをしており、乗った時の非日常感の演出がとても上手いメーカーです。また、外車の中でも125DUKEはアフターパーツも充実しており、購入後のカスタムも楽しむことが出来ます。

車検無しで性能も十分、バランス型の250cc

次は250ccです。任意保険を別にかけなければいけませんが、車検も無く、気軽に維持できる上に高速道路もそれなりにこなすため人気のクラスです。車体価格も手頃なので、自動車と同時に所有するならこのクラスが性能面と価格面のバランスが良く、おすすめです。

カワサキ NINJA250

250ccブームの火付け役ともなったNINJA250。デザインも250ccの中では非常に高い水準に達しており、安っぽさを感じさせません。また、高速道路で100kmのスピードで巡航するのなら風防もばっちりなフルカウルが欲しい所です。走行時の疲労がカウル無しのモデルとは全然違います。

最近では生産が国内工場に切り替わり、その品質も上昇傾向に有ります。250ccは東南アジアや中国で生産されることが多い中、貴重な存在です。自慢のスリッパークラッチは免許取立ての慣れないシフトダウン時の後輪の暴れを防いでくれますし、乗車ポジションもレーシーな見た目に反して、SS初心者に優しい物になっています。

ホンダ VTR

ネイキッドの選択肢としてはホンダのVTRをチョイスしてみました。バイク便にも使われているので、バイクに詳しくなくても見覚えの有る方もいるのでは。

搭載されているV型2気筒エンジンはホンダが長年使用しているVT型を使用しています。耐久性にかなり高い評価を受けており、商業車として使われるのもこの辺りの事情が関係しています。そしてそれを積む車体の基本性能も高く、ジムカーナ競技では上位に食い込む事も有る実力派です。多少防風性も追加したい場合は、ハーフカウル付モデルのVTR-Fを選ぶことも出来ます。

スズキ GSR250S

ロングツーリングを頻繁に行うつもりなら、特にツアラー色の強いGSR250Sをおすすめしたいです。非常にアップライトでゆったりとしたポジションに加え、大型のスクリーンが走行風からライダーを守ってくれます。デザインは非常にスズキらしい癖の有る意匠をしていますが、実用性という点では良く出来ています。防風性が高い程、長距離走行時に疲労が少ないので、あまり街中で見かけませんが面白い1台だと思います。個性を重視される方は是非。

中型免許最大排気量、迫力の400cc

このクラスは車検が入ってくるので、週末オンリーの趣味の乗り物として維持していくのはちょっと辛いかもしれません。車重も200kgの大台に乗り出し、バイク初心者は取り回しに苦労する重量になってきます。しかし250ccクラスに比べ装備も豪華になってきますし、走行時の力強さが下位クラスよりも格段に向上してきます。

ホンダ CB400SF

定番中の定番ですが、400ccのバイクを買うならばまず最初におすすめしたいのはこのCB400SFです。

基本的な癖の無さは教習車として使用されていることからも明らかですが、大型バイク並みの価格の市販車はV-TECエンジンやABS標準搭載等、装備面でも非常に豪華です。カスタムパーツも恐ろしく豊富ですし、古き良きネイキッドの姿をそのまま残すCB400はバイクを始める方の最初の1台にはぴったりです。ハーフカウル付きのSBも設定されており、防風性も確保されています。

ホンダ  CBR400R

フルカウルは同じくホンダのCBR400Rとしました。このジャンルはNinja400と迷いましたが今年丁度マイナーチェンジしたばかりですし、今新車で購入するならこちらかなと。

現行CBR400Rに搭載されるパラレルツインエンジンは39.7km/Lと、フルカウルの見た目とは裏腹に400ccの中でも相当な低燃費となっています。上のCB400SFよりも圧倒的に優秀です。そこから発生する46馬力は持て余し過ぎず、たまにその気になれば上級者の要求にも応える丁度良い数字となっています。

ホンダのSSはエントリーユーザーにも非常に配慮された内容となっており、最初の1台でも無理なく入っていくことが出来ます。サイズ感も非常にバランスが良く、小さ過ぎず大き過ぎない車体でライダーの一体感を演出します。エンジン特性は上手くピーキーな所を抑えた仕上がりをしていますから気軽に扱えると思います。勿論このスタイリングが気に入ったというだけで購入しても問題ありません。

ヤマハ ドラッグスター

どうも私の親父殿の世代は非常にハーレーが気になる世代の様で、中型免許で乗れるアメリカンとしてドラッグスターという選択肢を用意しました。各排気量にまたがって販売されていますが、中でも400ccは日本国内専用仕様という今時レアなバイクです。

静かなエンジン、高い安定性もそうですが、なんと言っても最大の魅力はボリューム感の有るスタイリング、休日にきままなロングツーリングを楽しむ大人のバイクとしての雰囲気を強く漂わせています。中型アメリカンに興味の有る方には是非ご検討頂きたい1台です。