600cc~

ZX-6R (カワサキ)

カワサキ ZX-6R

カワサキよりミドルクラスSSのZX-6Rです。最新型は636ccと排気量も大きく、このクラスのSSの中では厚いトルクの乗り易い一台です。一方レース用途に600ccモデルも併売されるというやや特殊な売られ方をしています。

レースシーンでは依然現役のZX600R

カワサキ ZX-6R

ZX-6Rというと2017年現在では636ccのモデルを思い浮かべる方が多いかと思います。しかし併売する形でこの599ccモデルのZX600Rも継続的に販売されています。この世代のZX-6Rはライムグリーン一色のカウルに中々愛嬌の有る顔つきをしていますね。

 

カワサキ ZX-6R

まずフロントサスペンションはSHOWAのφ41のBPF(Big Piston front Fork)。従来のカートリッジ型に比べるとこちらの方がピストン径が太くなり、2倍くらいに拡大されています。その為ピストンとオイルがふれあう面積は4倍程になっており、減衰力を発生させる初期段階でよりスムーズで自然な応答を実現しています。またカートリッジ式に比べるとBPFの構造は軽量化しやすく、SSには最適なサスペンションであることから、カワサキ以外にも続々と採用していっている代物です。リアはカワサキが多用するボトムリンク式のユニトラックサスペンションで、その特殊なレイアウトからマスの集中化で運動性を高める効果があります。またオーリンズ製のステアリングダンパーを標準装備しており、レースシーンでの高負荷におけるハンドリング特性を改善しています。

 

カワサキ ZX-6R

ブレーキはニッシン製の4ピストンラジアルマウントキャリパーとラジアルポンプマスターシリンダーを採用しました。この2点のおかげでブレーキ操作時のダイレクト感が高まっています。また300mmのブレーキディスクは制動力も高く、サーキット走行時の高い負荷にも耐える物です。リアの制動には220mmのディスクと、トキコ製アルミキャリパーが使用されています。
ホイールは前後17インチ、タイヤサイズは120/70-17、180/55-17となっています。
足回りを設計する時にカワサキが重視した点はコントロール性とそれをサポートする低振動性で、それに見合った装備がおごられています。

エンジンは前述の通り599ccの水冷並列4気筒。ボアストロークは67.0mm×42.5mm、圧縮比は13.3:1です。最大出力はフルパワー仕様で132馬力/13500回転、最大トルクは6.8kg-m/11800回転となっており、スーパースポーツらしい数字ですね。この排気量としてはきわめて高出力な部類になります。レースで使用することを想定するスーパースポーツですから高回転型のエンジンに設計されるのは当然ですが、一方で中間トルクも速く走る上で非常に重要で、このモデルではより低い回転数からのレスポンスの良さを活かすように調整されました。吸気ファンネルに使用されたダブルボアインテークファンネルは高さを変えた2つの吸気口を持っており、幅広い領域の回転数でパフォーマンスアップしています。

カムシャフトはクロームモリブデン製で400gの軽量化に成功しています。またエンジンカバーには軽量なマグネシウムが使用されており、ここも約600gの軽量化に貢献しています。6速のカセットトランスミッションはギアの幅を細くする、歯の形状を変更する等こちらも徹底的に手が加えられています。更にスリッパークラッチの採用でシフトダウン時のバックトルクを緩和します。

フレームは構造的にはそれまで同様のツインスパーフレームですが、スイングアームピボットの剛性を見直すことで以前のモデルよりもバイクの倒し込みを早くしクイックなハンドリングを追求しました。またマフラーをセンターアップマフラーから、より短いショートマフラーに切り替えたことでマスの集中化を実現しています。見た目としては好みの分かれるところですが、レースでの成績を考えるとこの変更は正解だったようです。

 


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ライダーとバイクの一体感についても見直され、タンク形状を改善することでライダーがニーグリップしやすくなる様に調整されました。アルミのリアフレーム部分の幅もより細くなっており、レーシーな見た目とは裏腹に足つき性は良くなっています。

 

カワサキ ZX-6R

しかし後述の新型も更にパッケージの成熟が進んでいるのに、何故旧型もラインナップに残っているのかというと、市販バイクで戦うWSBKの600ccクラスのレギュレーションに対応しているのがこちらだからです。とはいえ一般ライダーにとってはトルクがやや細くピーキーな599ccより、最新の636cc仕様の6Rの方が乗りやすいとカワサキは考えているようです。

こちらの仕様のマシンは現在もCBR600RRやYZF-R6といった各社のミドルクラスSSと並んで国際レースで活躍しています。そして実際順位も悪くない、どころかここ数年は他のメーカーを抑えて常勝バイクとなっています。ZX-10R共々レースシーンではかなりの競争力を持った一台です。

636ccに排気量アップしたZX636E

カワサキ ZX-6R

このZX-6Rは最近のカワサキデザインで制作されています。ZX-10RやNinja250等、他のクラスのSSと良く似ていますね。このクラスから大型のラムエアダクトがフロントに配置される様になります。

 

カワサキ ZX-6R

メーター周りはアナログのタコメーターとデジタルのスピードメーターの組み合わせで無駄なくレーシーな雰囲気を与えています。またフロントフォークキャップの赤もライムグリーンの良いアクセントで高級感が有ります。他社のミドルクラスSSがSHOWAのB.P.F.(Big Piston front Fork)で武装する中、カワサキは更に一歩進めたSFF-BP(Separate Function Fork Big Piston)を搭載しました。Z1000等にも利用されているこのフォークは、減衰力を発生させるダンパーと、それを押し返すスプリングの機能を左右のフォーク内に分かれて配置されています。その為フォークの中身が左右非対称な構造をしていることが特徴です。部品点数も少なく、構造的に軽い為、バネ下重量の低減で運動性能の向上に貢献しています。

電子制御面では、KTRC(Kawasaki TRaction Control)を搭載し、路面に適した出力に調整してくれます。タイヤのグリップは5/1000秒で精査され、その時の理想的なグリップを確認します。アクセルオンでリアがスライドするギリギリを機械が判断してくれますからライダーとしては安心してアクセルを開けられます。また急加速時のウィリーコントロールも内蔵されており、前輪が浮き上がったことを検知して出力を抑えてくれます。

ブレーキはNISSIN製キャリパーに310mmと220mmのブレーキディスクをセットにしています。通常のABSに加え、更にカワサキ独自のKIBS (Kawasaki Intelligent anti-lock Brake System)を搭載しています。KIBSはエンジン回転数やクラッチの繋がり具合もモニタリングしており、ブレーキング中にシフトダウンした際のバックトルクでリアタイヤが滑り出した時に効果を発揮します。KIBSは車体側でこれを解消し、素早くバランスを回復する仕組みです。

 

カワサキ ZX-6R

ZX-6Rのエンジンは636ccの直列4気筒エンジンです。ピークパワーはフルパワーで131馬力/13500回転(ラムエア発動時137馬力)、国内に入ってきている仕様で129馬力/13000回転となります。トルクは7.2kgf•mと排気量分の差でやや大きめとなっています。排気量アップの効果で低い回転からのトルクも補間されており、街乗りからサーキットまでオールマイティに活躍できるバイクとして調整されています。

車重は192kg(ABS仕様194kg)とやや重めです。シート高は830mmとSSとしては平均的な数字ですね。ホイールベース1395mmと高い旋回性能を追求して短めの寸法に設計されています。

足回りやそれを支える電子制御等、このクラスの中でも豪華装備が奢られた感の有るZX-6R。それらの制御をライダーに委ねているスズキのGSX-R600等とはまた異なるアプローチですが、下位クラスのステップアップとして安心して乗れるという意味ではかなりユーザーフレンドリーに設計された感じです。

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